パラベンとは?パラベンフリー化粧品は肌に優しいって本当?

パラベンとは?パラベンフリー化粧品は肌に優しいって本当?

基礎化粧品を選ぶときに避けては通れない「パラベンフリー」「パラベン不使用」というワード。
詳しい意味はわからなくても、なんとなく パラベン=危険、パラベンフリー=安全 というイメージで判断している方も多いのではないでしょうか?
しかし令和現在、パラベンフリー化粧品よりもパラベンを使用した化粧品のほうが安全という考えも多く見られるようになってきています。

では、実際にパラベンは危険なのでしょうか?それとも安全なのでしょうか?パラベンが安全ならパラベンフリーのメリットはなんなのでしょうか?
パラベンはどのような成分なのか、というところから解説していきます。

そもそもパラベンとはどんな成分なの?

パラベンとはどんな成分か
パラベンとは化粧品に関わる成分の中でも、もっとも普遍的な防腐剤で、「パラオキシ安息香酸エステル」の略称です。
パラベンにも種類があり抗菌活性の強い順に並べると、ベンジルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベンの5種類が存在しています。
日本で日常的に使われる化粧品に配合されているほとんどのものは、人体に対する毒性も低く、皮膚刺激も少ないメチルパラベンです。

パラベンには、黄色ブドウ球菌・表皮ブドウ球菌・大腸菌・肺炎桿菌・チフス菌・腸内細菌・緑膿菌・白癬菌といった菌やカビの繁殖を抑える効果があります。パラベンという防腐剤は1924年から医薬品の防腐剤として使われはじめ、約100年の歴史があります。また1977年には食品への添加も認可されています。

どうして化粧品に防腐剤を入れる必要があるの?

ではどうして化粧品に防腐剤が加えられているのでしょうか?
それは化粧品の中に、肌の栄養分となるもの(例えばアミノ酸、糖類、天然油脂)がたくさん配合されているからです。

また、美容効果が高いものほどその栄養分も増えます。これらはカビや微生物の大好物。しかも食品と違って使用期間が長いものが多く、塗布するときに直接手にすることも多いので雑菌が繁殖する可能性がとても高いのです。
カビが生えたり変質してしまった化粧品は肌のトラブルを引き起こしかねません。そのためにも防腐剤が必要というわけです。

パラベン=危険とは限らない?

パラベンは危険とは限らない
パラベンは、1980年に厚生省によって「使う人の体質によってごくまれにアレルギー等の肌トラブルを起こす恐れのある成分の一つ」であることが指定され、容器やパッケージに表示されるよう定められました(これを「表示指定成分」といい、今では「旧表示指定成分」と呼びます)。
パラベンは、1000人のうち2~3人が接触皮膚炎やアレルギーなどの肌トラブルを引き起こすといわれていました。
では、実際の副作用はどうなのでしょうか?

パラベンの副作用は?

気になる副作用ですが、Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(1984年)によると、アレルギーによる炎症がおこるかどうかを指す皮膚感作性は報告されず、皮膚に治癒可能な損傷がおこるかどうかを指す皮膚刺激性も一部の人にわずかな皮膚刺激が起こった程度で、一般的には皮膚刺激性はほとんどないとされています。
また、健常な皮膚の被験者によるパッチテストだと、後述する配合量の上限の5倍である5%のパラベンを含む軟膏でのテストでも皮膚感作反応は見られなかったため、健常な皮膚の人にとってはパラベンはとても安全な成分であるといえます。

ただし、過去にアレルギーによる炎症や皮膚炎を経験している被験者によるパッチテストでは、15%のパラベンミックス(前述の5種類のパラベンを3%ずつ混ぜたもの)を使用したところ、約2%の人にアレルギー性の炎症の反応が見られました。
普通の化粧品に配合されている何倍もの濃度でのテストのため、化粧品に配合されている量程度では症状が出ない人にも症状が出ていると考えていいと思いますが、皮膚炎アレルギー症状を持っている人や皮膚炎の経験がある、現在進行形で皮膚炎があるという人にとっては、パラベンはアレルギー性皮膚炎の原因になるかもしれないといえるでしょう。

副作用が出ないようにパラベンを使う工夫

表示指定成分が定められた1980年は化粧品の安全性に関する意識も異なり、パラベンを使用するとアレルギーを引き起こすこともありました。
しかし現在では技術革新によって品質が良くなり、さらに他の成分と併用することでパラベン濃度を下げることに成功したりと、安全性がより高まっています。

また、現在は2001年から施行された「化粧品基準」によって、化粧品におけるパラベンの配合量は全体の1%以内と定められています。更にほとんどの化粧品は0.2~0.3%程度しか含まれてないのが通常です。
化粧品基準が定められたことによって、1990年代まで問題視されていたパラベン入り化粧品の危険性はほとんどなくなっているのです。

パラベンフリーのメリットは?

パラベンフリーのメリット

パラベン入りの化粧品は危険だという誤解も解けたところで、それではなぜパラベンフリー化粧品は安全といわれているのでしょうか?

前述したとおり、現在では化粧品基準によりパラベンの配合量は全体の1%以下と定められました。多くの化粧品には0.2~0.3%しか配合されていないというのもあり、パラベンにより肌トラブルが起こることもほとんどなくなっています。

ですが、同じくパラベンを使用している化粧品でも、配合量が0.2%のものと0.9%のものでは配合量はや4.5倍もの違いがあります。0.2%の配合量では肌トラブルが起きなかった人でも0.9%の配合量だとアレルギー症状を起こしてしまうということがあり得ます。
危険性によって配合量の上限が定められた成分ですので、多く使用しないに越したことはありません。それに関しては化粧品メーカーも承知のうえで商品を開発しているため、基本的にはパラベンは0.2~0.3%程度しか配合されていないことが多いのですが、劣化しやすい成分が多い製品にはパラベンが多めに使用されていることがあります。
この、配合量がパラベン入り化粧品の問題点となってきます。

現在は薬機法により化粧品に配合されている全ての成分を表示しなければならないと定められていて、配合量が多い順に成分が表示されているのですが、配合量が1%以下の成分は順不同という問題があるため、パラベンがどれくらいの量配合されているのかは私たちにはわからないようになっています。
そのため、「少量のパラベンではアレルギー症状を起こさないが配合量が多いと皮膚炎が出てしまう」という人がパラベンの配合量が少ない製品を見極める方法がないという問題を抱えています。

一方、肌に優しいとされるパラベンフリーの製品は、パラベンを使用せず、パラベンの代用品として他の抗菌・防腐効果のある成分を配合しています。
パラベン以外の抗菌・防腐効果のある成分はパラベンと違い防腐効果が弱いものが多いため、そのぶん多めに配合しなければいけないというデメリットはあるのですが、パラベンと比較してアレルギー症状に関する危険性が低いものが多いです。
そのため、敏感肌の人が「アレルギー症状を起こす可能性があるパラベンがどれだけ配合されているかわからない」化粧品と「パラベンが配合されていない化粧品」のどちらを選ぶほうが安全かでいうと、パラベンが配合されていないパラベンフリーの化粧品のほうが安全だと考えられます。

そのため、技術革新によって「パラベン使用の化粧品は安全」だといわれるようになってからも、パラベンフリーの化粧品は肌に優しいといわれているのです。
特に、敏感肌や皮膚炎のある方には「パラベンフリーのほうが肌に優しい」と考えてよいでしょう。

「パラベン入り化粧品は安全」「パラベンフリーは肌に優しい」のどちらの意見も間違っていないということですね。
昔に「パラベン入り化粧品は危険」だったのも事実ですし、皮膚炎のある方や肌トラブルを起こす1000人に2~3人の割合を多いと考えている人にとっては「パラベン入り化粧品は危険」というのも間違いではないのです。

ただし、パラベンフリー化粧品はパラベンの代用品として使用している成分が天然由来の成分だと、それの影響でアレルギーを引き起こしてしまう可能性があります。
パラベンの代用品として使われることが多い成分に関しては、次の項目で詳しく説明していきます。

パラベン以外の抗菌・防腐成分とは?

パラベンフリーの化粧品でも防腐剤を全く使用しないとすぐに劣化してしまうため、抗菌・防腐効果のある成分の配合は必要不可欠です。
それでは、どのような成分が抗菌・防腐成分として使用されているのでしょうか?
代表的なものを挙げると、フェノキシエタノール、BG(ブチレングリコール)、エタノール、植物エキスなどがそれにあたります。

フェノキシエタノール

エタノールという名前が一部に含まれますが、エタノールとは異なる成分です。パラベンが効きづらい菌に対して強い抗菌効果を持っているため、パラベンと同時に配合されていることも多いです。
比較的抗菌・防腐効果が高く、パラベンよりもアレルギー症状を引き起こしにくいため、パラベンフリーの化粧品でよく使用されている防腐剤です。
ただし、比較的高いとはいえ防腐効果はパラベンの3分の1程度なため、フェノキシエタノール単体で使うには約3倍の量が必要となります。
こちらもパラベンと同じく配合量の上限が1%に定められている成分ですので、パラベンの約3倍の量が必要とはいえ配合量は1%を超えることはありません。

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BG(ブチレングリコール)

無色透明の液体で雑菌の増殖を抑える力がある成分。抗菌性もあり、他の防腐剤と併用することで相乗効果も得られます。保湿性が強く、多くの化粧品に保湿剤として配合されています。
パラベンと比べるとかなり抗菌効果が低いため、単体で使用する場合にはパラベンの約10倍の量が必要なのですが、保湿剤として5%ほど配合されているということも少なくない成分のため、配合量のことはあまり気にしなくてよさそうです。
なにより、使ったことがない人はいないというくらい多くの化粧品に配合されている成分ですので、化粧品全般が駄目という人以外は副作用は心配しなくてもよいでしょう。

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エタノール

誰しもが一度は使用したことがあるであろう消毒液です。ご存知の通り、お墨付きの殺菌・抗菌効果を持つ成分です。
殺菌・抗菌効果のほかにも、皮脂の分泌を抑えて毛穴を引き締める収れん効果のある成分のため、意外にも多くの化粧品に使用されています。しかし、蒸発しやすいという性質があるため、皮脂を過剰に奪うおそれがあります。
敏感肌の人はもちろん、皮脂分泌が気になる脂性肌やインナードライ肌の人は、エタノールが高濃度で配合されている化粧品は避けたほうがよいかもしれません。

植物エキス

天然の植物エキスも抗菌成分として配合されることがあります。代表的なものだと「ローズマリー葉エキス」や「グレープフルーツ種子エキス」などが挙げられます。
「天然」と聞くと良いイメージを抱きがちですが、実はこの「天然」が落とし穴でもあります。天然の成分というのは、自然のものをそのまま抽出しているわけですので、有効成分以外の成分も一緒に抽出してしまうのです。それがアレルゲンになりうるということですね。
花粉症などのアレルギー症状がある人は植物エキスは避けたほうがよいでしょう。

また、エキスの抽出には前述のBGやエタノールを使用することも多いため、BGだけなら大丈夫な人やエタノールだけなら大丈夫な人も、複数の成分が混ざり合った結果、肌トラブルを起こしてしまうという可能性もあります。

自分の肌に合うかどうか見定めるのが大切

これまでに挙げてきた抗菌・防腐成分が必ずしも肌に悪く、肌トラブルを起こすということではありません。
天然のものが肌に合う人、合成成分のほうが肌に合う人、防腐剤以外の成分に反応を起こしてしまう人……いろいろな肌の方がいるかと思います。
大切なのはその成分の含有量や配合バランスといった数字だけのものではなく、自分の肌に合っているかどうかを見極めることにあります。
特に、毎日使う基礎化粧品を選ぶときには成分表をしっかりとチェックし、自分の肌に合うかどうかを確認しましょう。
ブランドによっては、それぞれの成分が何%配合されているのか表記されているものもあるので、肌が弱い人は%表示のある化粧品を使用みてして、どの成分が自分の肌に合わないのかテストするのもよいかもしれません。

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