【美容成分】フェノキシエタノールとは?成分の効果や副作用を解説
「抗菌効果」「防腐効果」などの目的で配合される美容成分「フェノキシエタノール」の効果や安全性について解説します。
フェノキシエタノールとは
フェノキシエタノールは防腐剤として化粧品に投入されます。
化粧品の防腐剤ではパラベンが有名ですが、フェノキシエタノールにはさまざまな長所を持つため、パラベンの牙城を崩す勢いがあります。
この章では、フェノキシエタノールの化学的、物質的特性について解説します。
普通のアルコールではないアルコール
フェノキシエタノールは、エチレングリコールの水酸基とフェノールの水酸基が結合した、芳香族という種類のアルコールです。
アルコールの正式な定義は、炭化水素の水素原子を水酸基で置き換えた物質の総称、となります。
飲むアルコールの化学的な正式名称はエタノールやエチルアルコールといいます。エタノールはエチル基と水酸基が結合したもので、フェノキシエタノールとは異なります。
自然界にも微量に存在する
フェノキシエタノールは自然界にも存在します。日本茶の玉露に含まれていたり、綿花を栽培している地域の空中に浮遊していたりします。
このことをもって「だからまったく安全」とはいえないのですが、少なくともフェノキシエタノールが「危険な物質ではない」ということはできそうです。
フェノキシエタノールの効果
フェノキシエタノールには次のような効果が期待できます。
- 抗菌
- 防腐
抗菌剤としてのフェノキシエタノール
フェノキシエタノールの工業的な利用は1950年代から始まっていたとされています。
フェノキシエタノールには、大腸菌、黄色ブドウ球菌、カンジダ、カビ、緑膿菌といった、人にとって有害な細菌を殺す作用があることがわかっています。
フェノキシエタノールの細菌の叩き方は徹底的で、細菌を守っている菌膜を破壊し、細菌の細胞内の物質を漏出させます。
防腐剤としてのフェノキシエタノール
化粧品やスキンケア商品は水と油を多く使っているので、細菌が繁殖しやすい性質があります。しかも化粧品は原則、常温で保存するので、これも細菌を増やす要因になります。
そのため薬機法は化粧品メーカーに、3年を超えて性状と品質が安定している化粧品をつくるよう求めています。
細菌が増えやすい化粧品を、3年間も細菌から遠ざけるには、防腐剤を使うしかありません。
それで防腐剤としてのフェノキシエタノールが、多くの化粧品に含まれているわけです。
抗菌剤・防腐剤としてのフェノキシエタノールが優れている点
化粧品の防腐剤として長年使われてきたパラベンに対して、「刺激が強すぎて嫌い」と思っている人もいるでしょう。パラベンに悪いイメージを持つ人は少なくないのですが、実際は、パラベンはトマトやニンジンなどの天然の植物に含まれているので、それほど危険な物質ではありません。
またパラベンの抗菌作用は、フェノキシエタノールより強いとされています。
しかし化粧品はイメージが重要なので、消費者がパラベンを警戒すれば、化粧品メーカーはパラベンが入っていない商品を開発しようとします。
そこで白羽の矢が立ったのが、フェノキシエタノールです。
化粧品メーカーなどの研究開発によって、少量でも抗菌・防腐効果が出るフェノキシエタノールが誕生しました。
また、パラベンが殺せない緑膿菌を、フェノキシエタノールが効率よく殺せることもわかってきました。
さらに、保湿効果があるBG(1,3-ブチレングリコール)には抗菌効果があるので、BGを配合した保湿剤は、それほど多くの防腐剤を必要としません。そこでBGが配合された保湿剤であれば、フェノキシエタノールでもパラベン並みの抗菌・防腐効果が期待できます。
フェノキシエタノールの副作用
フェノキシエタノールは、化粧品の他の成分と異なり、人が積極的に摂取したほうがよい成分ではありません。例えば、肌のハリを回復させたり、保湿効果を持ったり、細胞の老化を食い止めたりといった効果は、フェノキシエタノールにはありません。
そして、もし、化粧品に細菌繁殖の心配や腐る懸念がなければ、フェノキシエタノールは配合しないほうがよいでしょう。
フェノキシエタノールは、化粧品を安全に使うために仕方なく配合されている成分といえます。
乾燥肌や敏感肌の人は注意を
フェノキシエタノールを大量に使うと、肌に痛みを感じたり、肌が荒れたりすることがあります。そして、乾燥肌と敏感肌の人は、フェノキシエタノールの使用リスクが高くなります。健康な肌の人には影響のない量でも、乾燥肌や敏感肌の人は痛みや刺激を感じることがあります。
フェノキシエタノールによって、かぶれたり、接触皮膚炎を起したりすることもあります。
また、一般の消費者が原液のまま使うことはありませんが、原液のフェノキシエタノールは危険です。臭いを嗅いだだけで頭痛や喉の痛みを起すことがあります。
配合できる量が決まっている
人が積極的に摂取したほうがよい成分ではないフェノキシエタノールは、化粧品に配合できる量が決まっています。「粘膜に使われることがない化粧品で、洗い流すもの」と「粘膜に使われることがない化粧品で、洗い流さないもの」と「粘膜に使う化粧品」の3種類の化粧品には、フェノキシエタノールは製品100gあたり1gしか使うことができません。
使ったほうがよいのか、使わないほうがよいのか
フェノキシエタノールのネガティブな面を紹介しましたが、しかし、現在の化粧品の使われ方からすると、化粧品にフェノキシエタノールが入っているメリットのほうが、デメリットより大きいといえます。
例えば、化粧品を1週間で使い切ることは現実的ではありません。そうなるとどうしても防腐剤が必要になります。
また、フェノキシエタノールは長年にわたって安全に使われてきた実績があります。防腐剤としてのフェノキシエタノールは、多少の欠点はありますが「問題ない」というのが一般的な理解です。
フェノキシエタノールが含まれている化粧品
フェノキシエタノールが含まれる化粧品やスキンケア商品には次のようなものがあります。
アイシャドウ、マスカラ、香水、チーク、ファンデーション、口紅、クレンジング、化粧水、保湿クリーム、パックなど
液体または油分を含むものにはほとんどフェノキシエタノールが使われていると考えてよいでしょう。
フェノキシエタノールが使われていなければ、パラベンなどの他の防腐剤が使われているはずです。
「防腐剤無添加」について
「防腐剤無添加」をうたっている化粧品でも、真空パックされた少量の使い切りタイプでない限り、なんらかの防腐の工夫が施されているはずです。その「工夫」は、フェノキシエタノールより優れているかもしれませんが、劣っているところもあるかもしれません。
フェノキシエタノール入りの化粧品を警戒しなければならない人は、「防腐剤無添加」化粧品にも十分注意するようにしてください。
フェノキシエタノールが含まれている化粧品の選び方
フェノキシエタノールが含まれている化粧品は、比較的低刺激であるとされているので、化粧品の刺激に弱い人におすすめできます。
特に、パラベン入りの化粧品を苦手にする人は、もしかしたらフェノキシエタノールの化粧品なら問題なく使えるかもしれません。
ただ、逆のこともいえます。つまり、フェノキシエタノールの化粧品に刺激を感じた人が、パラベンの化粧品を抵抗なく使えることもあります。
肌が「化粧品負け」してしまう人は、皮膚科クリニックを受診して、医師に相談してみるとよいでしょう。最近は、化粧品の成分に詳しい皮膚科専門医が増えているので、そのような医師と出会えれば適格なアドバイスがもらえます。
まとめ
化粧品に使われる防腐剤には、フェノキシエタノールとパラベンの他に、安息香やデヒドロ酢酸ナトリウムもあります。
化粧品を使う以上、防腐剤とは簡単には縁が切れないので、これらの成分とうまく付き合っていくしかありません。
しかし、防腐剤に複数の選択肢があることは、肌が弱い人にとってよいことといえます。なぜなら、特定の防腐成分を苦手にする人でも、別の防腐成分が入った化粧品を使うことができるからです。
化粧品は長きにわたって付き合うことになる製品なので、自分に合った成分をみつけてください。
美白※1有効成分が角質層に素早く浸透。透明感溢れるクリスタル肌へ。
美白※1だけでなくエイジングケアのことも考え、肌を整えくすみ※4 をケアし、みずみずしく明るい印象へ導きます。
※1 メラニンの生成を抑え、シミそばかすを防ぐ
※4 乾燥により肌がくすんで見える状態