加齢による男性器(男性性機能)への影響は?大きさが変わる!?

加齢による男性器(男性性機能)への影響は?大きさが変わる!?

年代別にED(勃起不全症)の割合をみると、年を取るごとに確実に増えていきます。
また、EDを免れても、加齢によって陰茎への感度が低下することが知られています。これはペニスから得られる気持ちよさが減ることを意味しています。
加齢とともに男性器が小さくなるという観察結果もあります。

この記事では、年齢と男性独特の心配事の関係について解説します。
そして、いわゆる精力剤と呼ばれる製品に含まれる成分には、加齢による悪影響を抑制する効果が期待できるものもありますので、あわせて紹介します。

EDは50代で50%、60代には60%にも

しばらくは憂鬱になる数字を並べますが、辛抱して読み進めてください。その向こうに光があるので安心してください。

日本人の年齢別のED有病率は、30代は10%未満で推移しますが、40代になると20%程度に倍増し、50代になると50%をうかがう展開になります。50代の半数がEDというわけです。
60代になると60%台にまで増えます。
「60代に突入してもセックスを楽しみたい」と思っている人にとっては悲報以外のなにものでもないでしょう。

そして30代の10%未満という数字も、決して見過ごせません。
30代のセックスは、単なる愛情表現や性欲の解消にとどまりません。その年代のセックスは、結婚生活にも家族計画にも関わってきます。その30代にEDでセックスができなくなれば、人生に大きな支障をもたらします。

陰茎の感度低下

アメリカのトーマス・ジェファーソン大学医学部の泌尿器科医で、男性の健康を専門にしているIrvin H Hirsch氏は、加齢による男らしさの低下には、次のようなものがあると指摘しています。

加齢がもたらす男らしさの低下

・ED
・性欲の低下
★陰茎の感度の低下
・射精時の精液の量の減少
・射精の兆候の減弱
・射精を伴わないオルガズム
・オルガズム後から陰茎が柔らかくなるまでの時間が短くなる
・一度オルガズムに達したあとに再び勃起するまでの時間が長くなる

注目したいのは、陰茎の感度の低下です(★)。

陰茎の感度の低下は、実は加齢に関係しないケースも報告されています。
マスターベーションは通常、勃起した陰茎を手で握り、上下運動させることで刺激を与えて射精を誘います。
ところがなかには、床に陰茎を擦りつけるプッシュ式マスターベーションをする人がいます。床オナニーとも呼ばれるこの方式に慣れてしまうと、硬い物体で強く陰茎を刺激しないと射精に至らなくなってしまいます。
その結果、マスターベーションでは射精できるのに、女性とのセックス(膣への挿入)では射精できなくなるという事態に陥ります。これは膣内射精障害と呼ばれ、陰茎の感度が低下してしまったことで起きます。

Hirsch医師は、同様の陰茎の感度の低下が、加齢によっても起きると指摘しています。健康な陰茎にとっては十分な刺激のはずなのに、あたかも感覚が麻痺したように性的刺激に結びつかない状態になってしまうわけです。

加齢とともに減るテストステロン

陰茎の感度の低下を含む、加齢によるさまざまな男性機能の低下は、テストステロンという男性ホルモンの減少が関わっているとされています。
Hirsch医師によると、テストステロンは20歳ころから平均年1~2%の割合で減少します。そのペースで減少すると50歳には30~60%も減ってしまうことになります。
テストステロンについては、後段で詳しく解説します。

陰茎は加齢によってどの程度小さくなるのか

加齢と陰茎の大きさの関係についてみていきます。

東京大学医学部泌尿器科の鈴木基文准教授らは2019年に「Penile size and stretched rate in a Japanese male population: A cross-sectional cadaveric study(日本人男性の陰茎のサイズに関する研究)」という論文を発表しました。
0歳から94歳までの418人の、亡くなった男性の陰茎の長さと太さを調べました。
死体の陰茎を測定しているシーンを想像すると、医師たちの探求心のすさまじさに驚くばかりですが、鈴木医師はこの研究の意義について次のように述べています。

●Penile size had been of interest for mankind, as phallic worship has been observed all over the world.
世界中で男根崇拝と呼ばれる現象が起きていて、人類にとって陰茎のサイズは重大な関心事といえる。

亡くなっているので、当然ですが勃起した陰茎の長さを測ることはできません。そこで鈴木医師たちは、「たるんだ状態の陰茎の長さ」と「伸ばした陰茎の長さ」を計測しました。さらに、陰茎の太さも測定しました。
年代別の結果は次のとおりです。

陰茎の長さについての調査

「上の段の年代」より縮小した年代に★をつけました。
20代、30代、40代は、たるんだ状態でも伸ばした状態でも縮小していることがわかります。
太さは、40代から70代まで4段連続で縮小しています。
さらに、60代、70代、80~94歳も、縮小傾向が顕著です。
このように陰茎は、13~19歳をピークに加齢とともに緩やかに縮小する傾向があります。
鈴木医師は、加齢によって陰茎内の平滑筋細胞が減っていることが原因ではないかと推測しています。

筋肉が減っているから陰茎が縮小している?

陰茎のなかにある平滑筋は筋肉の一種で、勃起に関与しています。平常時、つまり性的興奮がないときは、平滑筋は収縮して周囲の血管に圧力をかけて勃起できないようにしています。
性的興奮を得ると、脳からの指令で平滑筋が緩み、血管への圧力がなくなって血液が陰茎の海綿体に流れ込んできて勃起が完成します。

陰茎の長さの測定結果と鈴木医師の解説からすると、「加齢→平滑筋が減る→陰茎が縮小する→勃起しにくくなる→ED」という流れの説明がつきます。
ただもちろんEDは、テストステロンや生活習慣病、精神的なストレスなどが複雑に絡み合って発症する病気なので、加齢と平滑筋の減少だけが原因というわけではありません。

世界の男性たちの陰茎の長さ

先ほどの表のうち、20代以上の「伸ばした状態の陰茎」の長さは11~12cm程度とみることができます。そして陰茎を伸ばしているので、この長さが日本人の勃起時の長さと考えることができます。
したがって、日本の成人男性の勃起時の陰茎の長さは11~12cmくらい、ということができます。
この数字は、世界の男性たちの陰茎の長さと比較すると「妥当そうだ」と判断できます。

アメリカの調査サイト、World Population Reviewに「Penis Size By Country 2021(国別陰茎サイズ、2021年版)」という記事が掲載されています。
この記事は「Both men and women are curious about the size of men genitals. Penis sizes vary greatly between countries. (男性も女性も、男性の性器のサイズには興味を持っているものです。そして、陰茎のサイズは国によって大きく異なります)」という言葉で始まります。
陰茎のサイズは遺伝、若いころの栄養状況と健康状態によって変化する、とも述べています。

勃起したときの陰茎の長さで、平均値が最も長い国のトップ10は次のとおりです。

勃起したときの陰茎の長さの平均値が最も長い国

1位、エクアドル:17.61cm
2位、カメルーン:16.67cm
3位、ボリビア:16.51cm
4位、スーダン:16.47cm
5位、ハイチ:16.01cm
6位、セネガル:15.89cm
7位、ガンビア:15.88cm
8位、オランダ:15.87cm
9位、キューバ:15.87cm
10位、ザンビア:15.78cm

これで平均値なので、いわゆる「かなり立派なもの」といえます。
中南米(エクアドル、ボリビア、キューバ)とアフリカ(カメルーン、スーダン、セネガル、ガンビア、ザンビア)が目立ちます。

逆に、勃起したときの陰茎の長さで、平均値が最も短い国・地域のトップ10は次のとおりです。

勃起したときの陰茎の長さの平均値が最も短い国

1位、カンボジア:10.04cm
2位、ビルマ:10.70cm
3位、台湾:10.78cm
4位、フィリピン:10.85cm
5位、スリランカ:10.89cm
6位、香港:11.19cm
7位、バングラデシュ:11.20cm
8位、タイ:11.45cm
9位、ベトナム:11.47cm
10位、マレーシア:11.49cm

すべてアジアでした。
この記事では日本人の平均的な勃起時陰茎の長さは紹介されていませんでした。

先ほどの鈴木医師らの調査では、日本の成人男性の勃起時の陰茎の長さは11~12cmくらいでしたので、次の2つのことがいえそうです。

  • 日本を含むアジアの男性の陰茎は、中南米やアフリカの人たちの陰茎よりかなり短い
  • 日本人の陰茎の長さはアジアでは標準的

男性らしさをつくるテストステロンについて

先ほど解説を保留しておいた男性ホルモン、テストステロンについて紹介します。
テストステロンはドーピング剤の名称として有名になってしまったことから悪いイメージを持っている人が少なくないのですが、体内でできる物質であり、成長に関わる重要なホルモンです。

本格的な治療もできるが、サプリメントも有効

テストステロンの量は血液検査で測定できます。この値が低いと次のような現象が起きます。

  • 性欲の減退
  • 筋肉の減少
  • 腹部の脂肪が増える
  • 骨粗しょう症(骨折しやすくなる)
  • 気力と思考力の低下
  • 貧血(血球数の減少)
  • 心臓の血管(冠動脈)の異常

一般の人には典型的な「おじさん現象」と映るかもしれませんが、医学的には深刻な病気が多く並んでいます。
このように、テストステロンは、男性らしさだけでなく、健康なからだをつくるのに欠かせない物質であることがわかります。

医療機関での検査でテストステロンが異常に減っていることがわかれば、医師は、テストステロン補充療法を提案するかもしれません。その名のとおり、ダイレクトにテストステロンを患者さんに投与します。

そして、医療機関で治療するほど症状が悪化していない場合は、サプリでテストステロンを摂取することができます。
スポーツ選手がテストステロン・サプリを使ってしまうとドーピングの疑いがかかってしまうのでおすすめできませんが、一般の方が「精力剤」として使う分には問題ありません。問題ないどころか、おすすめできます。

健康を取り戻して男性の能力を回復させるのが理想

精力剤と聞くと「あやしい」と思ってしまったり、人によっては「いやらしい」と感じたりすることもあるでしょう。
しかし、テストステロン・サプリは、あやしさやいやらしさとは無縁のものです。
テストステロンの低下は不健康であり、テストステロンをサプリで補充することは合理的な健康改善法です。

不健康の結果、男性の能力が低下したので、テストステロン・サプリで健康を回復して男性の能力を取り戻す、という流れは理想的です。

ただ「テストステロン→筋肉増強→平滑筋が増→陰茎拡大」とはならない

テストステロンが減ると筋肉が減るので、テストステロンを補充すると筋肉が増えることが期待できます。
先ほど、陰茎には平滑筋という筋肉があり、これが勃起をつくっていると解説しました。そうであるならば、EDの人がテストステロンを補充すれば、平滑筋が増えて勃起が改善され、しかも平滑筋の体積が増えれば陰茎も拡大するのではないか、と期待したくなります。

テストステロンが陰茎を大きくする説は、素人考えでは理論的な感じがしますが、実際はそうはなりません。しかも、過剰にテストステロンを投与すれば逆効果になる可能性すらあります。
期待させておいて落としているように聞こえるかもしれませんが、もちろんそのような意図はありません。
テストステロンの正しい理解を紹介します。

不足している人に適量投与するのは◎、過剰投与は✕

医師の診察によってテストステロンが異常に減少していることがわかれば、テストステロンを補充することで症状の改善が見込まれます。
もし男性機能が低下していれば、テストステロン補充療法で改善するかもしれません。
また、本人が、男性機能が低下していると判断した場合も、ドラッグストアなどでテストステロン・サプリを買い、メーカーが指定する量を守って服用すれば効果が期待できます。

しかし、次の点には注意してください。

  • テストステロンを適量投与しても、過剰に投与しても、陰茎が拡大することはない
  • テストステロンを過剰に投与すると、かえって健康被害が起きることがある

テストステロンの過剰投与による副作用には、尿路の詰まり、気分の変化、肌荒れ、血栓(血管の詰まり)などがあります。

それでもがっかりする必要はありません。
適量であれば体調を回復させるのに、過剰になると健康を害する物質は、テストステロンだけではないからです。
テストステロンは、健康を増進する量を守って服用するようにしてください。

まとめ~加齢とあきらめないで、精力剤は成分に注目を

男性としての能力も人間の能力の1つなので、加齢によって人間の能力が落ちる以上、年をとるにつれて男性らしさが失われるのは当然といえば当然です。
しかし何歳になっても「まだまだ枯れるわけにはいかない」「まだまだセックスを楽しみたい」と思って、寄る年波(よるとしなみ)に抗う(あらがう)ことは、健康維持にもよいことです。

まずは、ストレスのない生活や適度な運動、必要なダイエット、栄養バランスがとれた食事などを心がけて、自然な形で健康を目指しましょう。
そして健康生活をアシストするために精力剤を積極的に使ってみてください。

この記事では精力剤としてテストステロンを紹介しましたが、それ以外にも男性らしさにとってよい成分があり、それらを配合した精力剤やサプリが販売されています。
成分を調べて、エビデンス(科学的な根拠)があるものを使ってください。

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